なぜかガウリナじゃなくてゼルアメ、いやアメゼル?

ちょっと原作のどこに入るかと言われれば、無理のある場面ですが、アメリアとゼルの会話が

先に思いついて場面を後から考えたので、無理がありますが、お許しください。

アニメのアメリアといつも一緒のゼルガディス、原作でやってみたら?

どんなものかと思いつつ書いてみましたが、どんなものでしょこれは・・・

 

ラブラブとか可愛いとか、まったくありませんので、その点はご承知ください。

 

正義の味方

 

 パチパチと焚き火のはぜる音、硬い土の当たる背中の感触が気持ち悪くて、何度も寝返りをうったが、落ち着かない。

 旅に出ても誰にも迷惑はかけないと自負があった、体力も体術も魔法もそんじょそこらの悪党や魔族にだって引けは取らないという、

強力な自負だったし、実際そのとおりに出来た。が、悲しいかな、宮殿でぬくぬくと育てられたという事実だけは、曲げられないのか、

野宿のたびに体が悲鳴をあげる。

 そっと眼を開けると、最初に飛び込んできたのは、ガウリイさんの金髪で、旅の傭兵は片膝を立てて、足の間から肩に立て掛けた

剣で器用にバランスを取って、座ったまま眠っていた。そしてガウリイさんの右隣、つまりは、わたしの左隣にはリナが丸まって眠っている。

野宿になると、気が付いているのかは別として、リナは必ずガウリイさんの隣に眠る。まあ、一番勘の鋭いガウリイさんの隣は、当然のごとく

一番安心な場所だけど、自分を守ってくれるのが誰なのか、無意識に判っているのでしょうね。無意識じゃなくても、わかってあげて欲しいものだわ。

 

「起きたのか。」

 ぶっきらぼうな声は、わたしの後ろから掛かる。わたしの後ろというか右隣にはゼルガディスさん、この間から一緒に旅をしている。

彼の加入でわたし達は、正義の仲良し4人組になったのだ。リナとガウリイさんの知り合いとかで、詳しい話はなぜか誰もしてくれないのだけど、

お二人が信用している方ですし、わたしも一緒にいて信頼のおける方だと思っています。

「はい!でも起きたと言うよりは、眠れないのですけど。」

「無理でも、寝ておけ。寝不足で足手まといにでもなったら迷惑だ。」

 いつも思うのだが、本当に愛想のない人だ。いざとなったら助けてはくれる人だが、もう少し社交辞令というやつを身に付けても、

良さそうなものだけど。

 

 まじまじと顔を見ると、焚き火の薄暗い明かりでもわかる、皮膚のあちこちに突き出した石のような塊、動物のキメラなら何体も

見たことがあるが、人なんて初めてだ。石以外の皮膚もわたしたちの皮膚と違い、なにやら硬そうに見える。思わず身を起こして傍らににじり寄る、

ちらりとこちらに視線を向けただけで、身動き一つしない彼の頬にそっと手を当ててみる。

「やっぱり、普通の皮膚と違うんですね。がちがちじゃないけど、ものすごく丈夫そうです」

「なまくら位じゃ傷一つつかんさ、しかしあんたも、いいかげん遠慮がないな。」

「それは、よく言われます。ああでも、大概は、無邪気で愛らしいって言われますけど。」

「お世辞か、おべっかだろう。」

「せめて、お愛想と言って下さい。」

 眠っている二人を起こさないように、小声で喋るために、彼の隣に座り込んだ。それでも、焚き火に視線を向けたまま、こちらを見もしない。

いいかげん失礼だと思いますけど、あなたも。

「何で、そんなになったんですか?・・・って、これも失礼ですね。」

「だから、図々しいと言っているだろう。」

「遠慮が無いと言ったんです。まあ、そんな事を他人に話したい訳ないですね、すみません。」

「別に構わん。俺のじいさんが僧侶というより魔道士だなあれは、孫を実験材料に使いやがったんだ。」

 それはまた、ずいぶんと救い様のない話で、さすがのわたしも返答に困るしかない。

「気にするな、もう随分前の話だ。」

 あれ?もしかして気を使ってくれました。なるほど、別に気遣いが出来ない人でもないのですね。この台詞でわたしは、ほんの少し

気が大きくなって、思い切って以前から考えている事を、聞いてみることにした。ただし、慎重に話をもっていかなければ、ならないですけど。

「やっぱり、元の体に戻りたいのですか。」

「当然だろう、あんたはこんな姿になりたいとでも言うのか。」

「いえ、さすがにそうは申しませんが、便利な事も有るのではないかと思いまして。」

「・・・」

「失礼ですけど、色々と正義に反する事もご経験のようですし、単純に命を狙われたり、危ない事もおありになるでしょう、

それとも元の体に戻られても、今のように強いのですか。」

「・・・生憎、普通よりはマシな程度だ、それは勿論わかった上だ。」

おや、危険は承知の上ですか、でも死にたいわけではないでしょうし、よしよし。

「元の体に戻っても、死んでしまったら元も子もないじゃないですか、だったら今のままのほうがマシとかは思わないですか?」

「・・・」

 あれ、ちょっとまずかったかな、怒ったかしら、ではちょっと路線変更したほうが良いかしら。

「ああ、ちょっと回りくどいのはやっぱり苦手です。単刀直入に申しまして、この後にご予定がなければ、わたしと一緒にセイルーンに

来ていただけませんか。」

「単刀直入というか、今までの話と何の関係があるんだ。・・・断ると言いたい所だが、まあ、いい。なんだ仕事なら話は別だ。」

「勿論、仕事です。それも一時的なモノでなく、わたし付きで色々とやって頂きたい事があります。ただし、申し訳ありませんが、

貴方をセイルーン王家として正式にお雇いする事は出来ませんので、いわゆる裏のお仕事って言ったらよいのですかね、まあそんな事を

お願いしたいのです。」

「それはそうだろうが、裏とは、セイルーンでも暗殺者を雇うのか。」

「そんな事は致しません。家臣たちには頼めないような調べ物や、わたしが直接行くことの出来ない場所での正義の行いやなんかです。

わたしがゼルガディスさんに悪事を成せなどと、申し上げるはずが無いじゃありませんか。」

「わかった、わかった、でかい声を出すな。あいつらが起きる。正義の行いってのが引っかかるが、それで報酬は?」

「勿論それなりの金額はお支払いしますし、ゼルガディスさんが元の体に戻る方法探しの旅もどうぞお続けになって下さい。定期的に

ご連絡下されば、わたしがお仕事を頼みたい時にお願い致しますから。それにここからが、特典だと思いますが。」

 うふふ、やっとこっちを見ましたね。わたし今ほど、自分が姫でよかったと思うことはありません。普通は出来ない、こんな方法を

駆使できるのですから。まあ、成功すればの話ですけど。

「なんだ、その特典とは。」

「はい、ゼルガディスさんの旅で、もしお一人で手に余るような事があった場合は、ご連絡いただければ、わたしとは申せませんが、

それなりの者を派遣して、お手伝い致しますし、もし大掛かりな儀式や何かが必要な場合には、こちらで準備させていただきます。」

「・・・」

「そんな、嫌そうな顔なさらないで下さい。わたしだって同情や何かでこんな事はいえません。その代わりと言っては何ですけど、

ゼルガディスさんが旅の間で集めた知識を、我がセイルーンで書物にして残したいのです。貴方のお役に立たない知識でも、貴重で

人の役に立つものも、あると思いますから。ですから、これはわたしにも十分メリットの有る話なのです。如何ですか?」

 ふふふ、その顔、迷っていますね。でも断る理由はありませんでしょ、旅は今までどおりに続けて、スポンサーが付く話なんですから、

わたしもゼルガディスさんの動向が逐一掴めるし、何としても話をつけます。

 

「何故俺に言うんだ。」

「はっ?」

「あいつらに言えば良いだろう、あの二人もフラフラ旅をしている身だ。俺と違ってお尋ね者という訳でもない、あんたが雇うのに

文句をつける奴もいないだろう。」

 そっちの方向できましたか。でもここでゼルガディスさんを雇いたい、とか言っても逆効果なのはわかっています。

「リナとガウリイさんを雇うなら、裏でこっそりやる必要はありません。堂々とお城に呼んで、堂々と雇います。どうせあの二人の事を

知らない者は、城にはいませんから。それに、いつかはそうしたいと思っていますけど、まだ時期じゃありません。今言っても断られます。

そうじゃなくて、わたしが、お願いしたいのは、裏の仕事と申しませんでしたか、あんな目立つ人たちに裏の仕事お願いする人はいません。」

「・・・」

「それに、表の手配はわたしが何とかします。まあ、裏の方は何とか、という訳にはいきませんので、ご自分でお願いします。

で、最後にもう一つ特典を付けたいのですが。」

「おい、特典の方が多くないか。」

「良いんです。それでさっきの話に戻るのですけど、もし元の体に戻れましたら、今度こそ正式にセイルーンで、わたしのところで

働いてください。まったく違う名前で違う人としてでもいいですし、そのままがよろしいなら、本当にわたしが表も裏も何とかします。」

「・・・さっきも言ったが、元に戻ったら、俺は大して役にはたたんぞ。」

「いいえ、その知識と判断力と経験だけで十分すぎます。それに何より、信頼できる人は一人でも多く身近に置いておきたいのです。

そんな訳で、如何でしょうか?先の話は、別にその時に決めていただければ良いのですし、とりあえずわたしを手伝って頂けませんか。」

 

「・・・」

 何で黙っているんですか、何で迷うんですか、全然いい話ですよ。それとも、わたしを手伝うのは、嫌なんでしょうか。ええっ、

割と好かれていると思っていたのは、わたしの勘違いですか。とりあえず近いところに居たいと思っているぐらいも、迷惑だとしたら、

うぅ凹みますマジで・・・

 沈黙が痛いです。どうしたら良いのでしょう。

 

「話し中悪いがゼルガディス、火の見張りを交代するが、まだいいか。」

 ガウリイさん、何かグッドタイミングで起きてくるのですね。助かりました。ああでも、とりあえず助かっただけで、根本的解決には

程遠い。押すべきか引くべきか。

「いや、頼む。何か頭痛くなってきた。俺はもう寝かせてもらう。それからアメリア。」

「はっ、はい。何でしょうか。」

「自分から振っておいて何でしょうか無いだろう。そこまで言うなら、別に断る必要もない。とりあえずその仕事受けよう。

ただし言っておくが、俺は自分の都合を優先するぞ。」

////

「それから、あんたは何時から起きていた。盗み聞きとは悪趣味だろうが。」

「ああ、暗殺者を雇うとか何とか物騒な話が聞こえたから、別に盗み聞きしたわけじゃない。内容だってもう忘れたぞ。」

 無理なこと言ってますよ、ガウリイさん、覚えているじゃないですか暗殺者。

 ああでも、やった、やりました。とりあえず第一歩です。不肖、アメリア・ウィル・テスラ・セイルーン、この先いかなる艱難辛苦を

乗り越え様とも、邪魔なものは一つ一つ確実にいかなる手段を用いようとも排除して、必ずやゼルガディスさんと正義の道を貫けるように、

頑張ってみせますとも。二人なら、この世の悪を一掃出来ます。正義の道も一歩からです。

 めざせ、正義の味方です。

 

 

「おい、ゼルガディス。大丈夫なのかアメリアは、何か一人で百面相しているぞ。」

「俺に言うな。何か、本当に頭が痛い上に悪寒がしてきた。悪いが後は頼む。」

「おお、何か、今後は大変そうだしな。まあ、しっかりやれよ。」

「リナには言うなよ。」

「だから、忘れたさ。」

 

 

お終い

 

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