まあ、誰もが一度は書くと思われるネタです。

隠された意味がわからない良い子は、間違ってもお母さんなんかに、聞いちゃダメよ。

 

いれる?

 

時折苦しそうにうめき声を上げて、真っ赤な顔に玉の汗を浮かべて、うずくまる少女に、殆ど彼女の上に乗っているかのように覆い被さる、大柄な男。

しばらく、その体勢が続いたが、下になっている少女が、相変わらず真っ赤な顔をして、自分に覆い被さる男に上目遣いの視線を向けて、

かすれたような声で話し始めた。

 

「待って待って、やっぱり止めようよ〜、ガウリイ。」

「そんな訳には、行かないだろうがリナ。」

「だって、痛いんでしょう。すっごく痛いって聞いたもん。やっぱりやだよ。」

「我慢しろ。誰だって痛いんだ。痛いのなんてホンのちょっとの間だけだ。」

「嘘だ〜、ものすっごく痛いって聞いたもん。ちょっと、押さえつけないでよ。」

「この期に及んで、逃げようとするな。痛いのは、どうにも出来ないから諦めろよ。」

「人事だと、思って何言ってんのよ。あんたはいいわよ、入れるほうだから、痛くないんだから。」

「そりゃそうだろ、だいたいお前には、入れられないだろ。」

「う〜、だって、痛いのやだよ。」

「大丈夫だって、なるべく痛くないようにするから、そっとやるし、だから動くなよ。」

「本当?じゃあ、我慢するけど、本当に痛くしないでよ。」

「じゃあ、ほら、その辺につかまってろ。いいか、入れるぞ。」

「うっ、ヤダ痛い!触っただけで痛いよ。ちょっと止めて、やっぱり無理。」

「いいから、我慢しろ。」

「痛い、痛ぁい、ヤ〜・・・」

「おい、リナ。入ったぞ。って、気絶してんのか。女って、このての痛みに強いって聞いたけど・・・リナほら、ちょっと動かすぞ、目を覚ませって、

ダメか。じゃあ勝手にやるか。」

 

 

ドン、ドン。

「夜分にすみません。こちら魔法医の先生のお宅と伺って来たんですが。」

「はい、今開けます。・・・どうなさいました。」

「いやちょっと外れちゃって、入れたんですけど、一応診てもらいたって、言うもんで・・」

「当然でしょ、痛くしないって言ったくせに、滅茶苦茶痛かったんだから、信用できない。」

「まあ、まあ、お二人とも、それじゃちょっと拝見。ああ、肩ですか。大丈夫綺麗に、はまってますよ。ちゃんと動くし、お見事ですね。脱臼は癖になるから、

気を付けて下さいね。」

「はあ、ありがとうございました。」

 

「だから、前に自分の腕入れた事あるから、大丈夫だって言ったろう。」

「自分で自分の関節はめるような、人間離れしたやつと、一緒にしないでよ。あたしは、か弱い乙女なんだから。」

「ハイハイ、お前こそ、そんなに痛がりじゃ、先が思いやられるな、大丈夫かな。」

「何が、大丈夫だって言うのよ。」

「いや別に、すぐに如何こうしようって訳じゃないから、気にするな。」

「なんか、ものすごく引っかかる言い方だけど・・・まあ、いいか。じゃあ、御飯食べに行こう。」

 

 今ひとつ、かみ合わない会話を続けながら、大小二つの影は、夜の町に消えていった。

 

おしまい

 

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